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バトル三態

今週はストーリー展開について触れようと思うんですが、最初に今週の一コマ。「いでじゅう」より265ページ4コマ目。なんかジョジョにでも出てきそうな風貌の新キャラいっちゃんですが、この瞬間本気で守護神になってるとこがスゴイ。笑えます。

では本題に入ります。前に書きましたが、少年マンガにおいてストーリーはバトルとイコールです。で、このバトルの形式にはズバリ「一対一(タイマン)」「タッグ」「チーム」の三つの形態があるのです。ここで少しスポーツ漫画を見てみましょう。現在、サンデーには「KATSU!」「ダンドー」「MAJOR」の三つのスポーツ漫画が連載されています(「ケンイチ」はややこしいので除外)。ボクシング、ゴルフ、野球と、ものの見事にタイマン、タッグ、チームという構成になっています。なんでこの三つの競技を想像してもらうとわかりやすいかと思うんですが、それぞれ全く違う面白さを持っています。

当然一番わかりやすいのはタイマンです。強い方が勝つ。ヒーローの格好良さが最も際だつので、「うえき」のように最後はタイマンってのが、少年マンガの黄金パターンです。とはいえこれは弱い方は勝てないということでもあり、また基本的に一度済んだ対戦は二度とできなかったりするので、意外と使い勝手は悪いのです(「強さのインフレ」の原因の一つ)。今のサンデー連載陣でタイマン一本なのは「メル」くらいですね。

チーム戦では複数のキャラによる役割分担が行われます。ボス担当犬夜叉、雑魚担当弥勒、遠距離担当珊瑚、浄化担当かごめ、みたいな感じですね。このとき弱点が露呈するので格好良さでは劣りますが、その弱点をどう補うかという面白さが出てきます。しかも一人が離脱しちゃったり逆に一人だけになっちゃったり何かとピンチになれてさらにおいしい。

で、実は最も難しいのがタッグ戦。構造上主人公+足手まといになりやすく、また単純に強い奴らが二人集まる今週の「東遊記」みたいな構造は雑魚相手ならかなり燃えるんですが、ボス相手だとやっぱり迫力に欠けてしまうので、ゴルフでいうところのプレイヤーとキャディのような役割分担をどう作るかという手腕が問われます。その点上手いのが「結界師」。どっちかというと主人公である良守の方が足手まといという設定に加えて、今週ついに姿を現した時音の三重結界によって、二人の役割が絵として強調されることになり面白さは倍増。しかも弱点を相互にではなく自分で補ってしまうという格好良さ。

そしてタッグといえば「D-LIVE!!」を出さねばなりません。一見斑鳩悟が単独で主人公を張る、タイマン主体の漫画に見えますが、そうだとするとどうして同じ敵との戦いが何回も起こる(ことができる)のかが説明できません。実はこれは斑鳩がマルチドライバーだからこそできる離れ業なのです。これまでに斑鳩対ロコの対戦は三回行われましたが、走るコースも乗るマシンも全く違うために、緊張感が保てているわけです。つまり「D-LIVE!!」は、エピソードごとにパートナーが変わるタッグ戦という、非常に斬新な構造を持っていることになります。面白いはずです。しかもパートナーがキャラクターという形をとっていないために、全く斑鳩の格好良さを阻害しません。むしろ兵器対乗り物というハンデを自然に演出することで格好良さは増しています。もっと言えば、あくまでドライビングテクニックで挑むロコや生身で乗り込んでくるカザロフの格好良さも増すことになります。こういった何重もの相乗効果がこの漫画の圧倒的な面白さと格好良さを生んでいたわけです。

というわけで今週は、日々進化を続ける少年マンガシーンにおける、タッグ戦の最新モデルを紹介しました。以前紹介した「ガッシュ」の事例も合わせて、今はタッグ戦の研究が進んでいるようですが、タイマンやチーム戦にもまだまだ余地はあるはず。全く新しいバトル形態の登場に期待したいものです。

蛇足!今週の「東遊記」は個人的にお気に入り。イチゾーかっこいいじゃないか!
by kabehouse | 2004-09-16 17:16 | 少年サンデー
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