これぞマンガの職人芸 あお高スペシャル

いつかはやってやろうと思っていた一つの作品に絞って語り明かすスペシャルネタ。どこでやろうかと思っていましたが、今週ついにその時が来ました。「最強!都立あおい坂高校野球部」。田中モトユキが繰り出した新連載は、野球ファンのツボ突きまくりの、ありそうでなかった超王道野球マンガ。しかもベタベタな熱血と見せかけて、実はかなりリアルに甲子園への道を描いていたりするのです。

なにがすごいって、メインの5人が5人ともバカだ!普通は5人もいれば一人や二人は常識を振りかざす憎まれ役がいるものですが、このマンガはそれがいない。いつもならそう言った役目を負いそうなキャッチャー松方雅治、セカンド梅宮右京の二人も、自分は普通と思ってるけどその基準がおかしい感じ。主人公一人で熱血してるとどことなく嘘っぽかったりするんですが、5人もいるとできちゃいそうな感じがして、いいですね。そんでキャプテンの小森、いや小森じゃない今井だ、とにかくキャプテンがいいんですよ、弱いけど頑張ってる感じがして。そしてその野球部の存在を成立させているのが都立というハンデ。これがまたリアル。甲子園行っちゃったらすごいけど、行ってしまってもおかしくないという絶妙な設定が野球好きの心をくすぐるのです。

ハイじゃあ細かく見ていきましょう。まずは冒頭の試合シーン、サブマリンが映える映える。こんなもん左打者は絶対打てない。24ページ2コマ目「死角から浮き上がってくる云々」の場面がわかりやすいんですが、ちょうど打者の背中側に投手の手が来るため、ボールを放すタイミングが見にくいわけです。よく「背中から出てくる」と例えられます。それにしても左のアンダースローとは、渋いところを突いてくる。甲子園に出れば間違いなくものすごい話題になるけれど、決して不可能なレベルではない。剛速球でも魔球でもない、説得力のある武器です。あと聖和の監督もいい味出してます。こういう何でも笑い飛ばしながら「グラウンド50周!」とかいうおっちゃん、いそう。

28ページ1コマ目、「満足してもらっちゃ困りますよ先輩方!」ココ注目です。何が注目って、四番ファースト小林虎鉄。一人だけガタイがいい。他の場面でも他より太く筋肉質に描かれていて、かなりイイ感じです。一人だけアンダーシャツ着てないし。他にも狛光爾は背が高いとか、キャラクター性がバッチリ出ていてイイのです。あ、もちろんこの辺はガタガタ震えるおばあちゃんとか教頭先生の服装がハデとかも見逃さないようにしましょう。

そして今週のキモ、狛光爾の決別シーン。このビリビリした緊迫感はマジたまりません。この狛がね、すごくいいライバルなんですよ。先に述べたキタローサブマリンに真っ向から対決する左打者で、その左打者に育てたのが鈴ねえで、きっちり恩を感じつつ自分は違う道を行く、と。優しいからこそ、非常なほどにけじめをつけなければならない。「コレが俺の選んだ強さだ!」という思いが伝わってきます。そして甲子園のリアルがこいつにも。甲子園というのは不思議なところで、甲子園を制するのはたいてい一人の「怪物」なんです。松坂の時が象徴的ですが、打倒・松坂で勝ち上がってきた強豪校は全て敗れ去り、最後にはやはり怪物だけが残るという。その点この狛は木製バットで大会4本のホームランを打ってしまう、まごうことなき怪物で、甲子園に魅入られたとでもいうべき存在。春の選抜を皮切りに春夏あわせて四連覇を成し遂げる男です。これ以上の相手はないといってもいいでしょう。話がそれましたが、46~49ページの攻防はものすごくアツイ。このメッセージボールとお守りに込められた互いの思いを想像するのがマンガの醍醐味ですな。

53、54ページも一見よくある風景ですが、決定的に違うのはキタローが意外と真面目な生徒であること。いや、昼休み終わってるのに気づかなかったりはしますが、サボってるわけではないし、ちゃんと教師に敬語を使う。そんで54ページ5コマ目がいいですね、マサハルの「俺もね」が利いてます。

そして皆さんお待ちかね、今週の一コマがやって来ます。が、その前に。ヒロイン菅原鈴緒の話をしとかないと。いいですよ鈴ねえ。何がいいって尻がいい。いや、尻もいいんですが、教育者なところがまたいい。今週はちょっと教育者の顔が隠れ気味ですが、この目線で起こる戦いをきっちり描いた漫画って意外と少ない気がするんで、貴重な存在なんじゃないかと。さてそれじゃあ行きますか、今週の一コマは、もちろん56ページ2コマ目だあ!…なんで1コマ目じゃないのかって?1コマ目は言われなくても注目するじゃないですか。ってまあそんな天の邪鬼な理由もありますが、1コマ目だけでは表現できない勢いとか力強さがこの2コマ目と前ページに込められているため、このコマはかなり大事だと思うのです。しかしビビりました。メインキャストが出そろったと思った瞬間不意打ちで来ました千葉千秋。ドーンと来てストッと降りてくるんと一周回ってキーンですよ。やばい。こいつはやばい。鈴ねえが微笑む女神なら千秋は舞い降りた天使か?33ページ4コマ目や54ページ2コマ目にしっかり顔を出させる遊び心にも脱帽です。

そんなわけで、リアルで熱くてダサくてカッコイイ「あお高」、壁ハウスイチオシです。

以下感想。すでにかなり書いてるので短めに…。



・あお高
それにしても俺様ショートカットに弱いなあ。

・ガッシュ
ごめんバリー、お前の存在完璧に忘れてたよ!しかしこの漫画の人たちはどうしてみんなカッコイイフリしておバカさんなんだろう…。ベルンとか。あとキースの顔の周りにある縁取りが途中からクチビルに見えます。

・結界師
「なんで、逃げるの…?」そりゃ逃げます。
「くそ、今に見てろ。寝る子は育つぜ!?」夜に寝ないとダメらしいぞ。

・KATSU
ラビット坂口格好良すぎ。こういう静かな勝負ってのも燃えるもんだなあと感心しました。

・いでじゅう
さすがに皮村が可哀想な気がしてきた…(トビラじゃなく本編の方ね)。今まで林田が可哀想だったから皮村が目立たなかったのかも。

・我聞
恥を忍んで言おう!俺様が見たいのは、住さんのメイド姿だ!(ダメすぎ)

・からくり
383ページのミンシア姐さんがステキです。

・道士郎
健助カッコイイ。道士郎がアホでいい。でもなんの義務感も使命感もなしに参加しちゃう早乙女愛が本当にステキだと思います。
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by kabehouse | 2005-01-20 11:31 | 少年サンデー
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