「こわしや我聞」総括 前編

か: はいどーもー、壁のかでーす。
べ: べでーす。
か: というわけで今回は特別に、人格を分離して語ることにしたぞ。
べ: 名前があまりにも適当なんですけど。ていうかなんでわざわざそんなややこしいことを?
か: ツッコミがいないとボケにくいからだ。
べ: いや、そんな無理にボケなくても…。
か: ボケないと書いてて面白くないだろうが。それに俺様の文章は、言葉の意味を勝手に変えたり、わざと嘘を言ったりするから誤解されやすい。
べ: それは誤解っていうよりあんたがだましてるんじゃ…。
か: だから誤解を防ぐために、ツッコミ、補足説明、暴走を止めるとかその他諸々を行う人員が必要なのだ。つまり俺様が佐々やんでお前が中村。
べ: またそんな分かりにくい例えを…。まあ今回は「我聞」の話だからいいか。
か: そのとおり、大変遅くなったが「こわしや我聞」語り尽くし企画だ。
べ: しかし恐ろしく長いねー。
か: 全部で15000字超。改行とかタグとか抜くとおよそ11000字ってとこだな。
べ: こんなの最後まで読む人いるんだろうか…。
か: 藤木屋にトラックバック貼ったし、二、三人は読んでくれるんじゃないか?
べ: 作者公式に!?嫌がらせ?
か: 違うわ!一足遅いクリスマスプレゼントだ。俺様はサンタじゃないが、「我聞」への愛なら溢れ出るほど持ってるからな。
べ: で、溢れちゃったついでに全部吐き出したらこんなに長くなった、と。
か: これでもはしょったんだ!補足説明入れないとわかりにくいかなーと思ったところも泣く泣く削ったんだ!
べ: いや、そこ削っちゃダメだよ。
か: だって面倒だったし。
べ: それが本音か!
か: といったところでまた来週。
べ: まだ始まってもないのに終わらすな!ていうか来週ないし!
か: しょうがないなあ、始めるか。「こわしや我聞」総括、はじまりはじまり~。



1 「こわしや我聞」とは

べ: まずは大雑把に、「我聞」とはどういう話だったのか?ってあたりから。
か: 結論から言えば『我聞が國生さんを嫁にする話』だな。
べ: 何その偏りまくった結論。
か: それは順を追って説明しよう。まずこの話の主人公が工具楽我聞であることは間違いない。で、我聞の設定は高校生であり社長だ。
べ: ついでに仙術使いでこわしやでもあるけど。
か: そのへんはとりあえずおいとく。連載初期で散々言われていたように、我聞の目標は先代のいない工具楽屋を継いで、頼れる社長になることだった。
べ: あーそう言えばそんなこと言ってたねー。
か: だが、最終的に頼れる社長になった、とは言えない。社長としては最後まで半人前だ。だから『我聞が頼れる社長になる話』とは言えない。本当のテーマはその裏にある。
べ: ははあ、それがつまり秘書である國生さんってことか。
か: うむ。頼れる社長になる、ということの他に國生さんの信頼を勝ち取る、ということも散々言われていただろう。この作品のテーマが我聞個人の成長ではなく、我聞と國生さんとの絆の深まりにあったのだとすれば、最終的にそれは合体仙術という形で見事に達成されたことになる。
べ: なるほど、『我聞が國生さんと二人で一人前のこわしやになる話』ってわけか。
か: その通り。つまり『我聞が國生さんを嫁にする話』。
べ: いや、それは飛躍しすぎ。

2 工具楽我聞とは

か: テーマが我聞個人の成長ではなく二人の絆にあったせいか、我聞は少々特殊なキャラクターになっている。
べ: そうかな?向こう見ずな熱血漢で人の頼みを断れない人情家…よくある設定な気がするけど。
か: まあ詳しく見ていこう。キャラクターの特徴を良く知るため、強さ、優しさ、力という三つの魅力を分析してみる。
べ: この三つの要素について、詳しくは以前書いたたった三つのシンプルな答えを参照してください。

2-1 工具楽我聞の強さ

か: まず強さ。己を知り、世界を知り、より高くへと上ろうとする意志だ。我聞の場合、己の力量はよく知っていたし、高めようという意志も強かったが、周りが見えなくなることが多かった。匹夫の勇というやつだな。
べ: まさによくあるパターンじゃん。
か: そうでもないぞ。普通周りが見えないという場合、同時に自分の力も見極められない場合がほとんどだ。だが我聞はそうじゃなかった。この違いは大きいぞ。例え結果は同じになったとしても、理由が違えば読者のうける印象は大幅に変わってくる。
べ: 確かに我聞の場合、自分の力不足が分かっているからこその無茶が多かったねー。

2-2 工具楽我聞の優しさ

か: 続いて優しさ。他者を理解し、受け入れる心だ。我聞はここが抜群に秀でていた。
べ: 特に桃子のエピソードでは抜群の格好良さだったねえ。あとユンボの回とか。
か: それからタンカーテロ阻止のエピソードにも注目だ。普通少年マンガの主人公ってのは、あの時の番司みたいに悩む。優しいってことは敵の気持ちがわかるってことであり、敵と戦うにあたって障害となることが多いからな。だが我聞は、その答えを最初から持っていた。
べ: 「壊すモンは間違えるな」、だね。
か: そう。少年マンガにおいて最も複雑な問題の一つに、「壊すモンは間違えない」という単純明快な答えを最初から用意していたことで、我聞は今までになく揺るがない、痛快なキャラクターになったと言える。

2-3 工具楽我聞の力

か: 最後に力。仙術を「究極の肉体コントロール」と位置づけ、格闘戦闘の延長上にあるものから超能力並みのものへとパワーアップさせていったのは上手かったな。
べ: 関節はずすとか亀裂に気を流し込んで破壊とかいう、わりと『できそう』なところから、爆発が出るところまで違和感なく行ってたねぇ。
か: イメージ通りに肉体を動かすことで、イメージ通りの現象が起きるってのは、実はかなりの力技だが、卓球を引き合いに出したことで上手くだまされた。
べ: そういう誤解を招く言い方をしない。確かに漫画家は嘘をつく職業ってよく言われるけど。
か: そのへん、俺様の中では常識だからな。世間の常識など知らん。
べ: いや、そこは言い切っちゃダメだよ。誰もついてこないよ。
か: 話を戻して仙術の欠点なんだが…。
べ: 勝手に戻さないでよ。っていうか戻ってませんがな。
か: 理を得るまでがあまりにも長すぎたのが一番の欠点だな。理を得る前の仙術ではあまりに地味だったから。地味なら地味でいいんだが、終盤の派手なバトルを見るに、仙術の理屈づけはさっさと済ませて早い段階で理を得てしまう方が良かっただろう。
べ: どこまでも勝手に話を進める気だよこの人…。
か: そうしないと終わらんのだ。
べ: いや、まあそうだけど…。僕の立場は…。
か: とにかく、我聞は「爆発の理」、「外気流入」と大きく二段階のパワーアップを果たすわけだが、爆発は応用の幅が狭くて良かった。
べ: 幅が狭いってことは戦法のバリエーションが少ないって事でしょ?まずいんじゃないの?
か: 一概にそうとは言えないのが少年マンガよ。力はそのキャラクターを象徴する最も重要な要素だからな。我聞のイメージと力のイメージとがよく一致してないといけない。我聞の不器用さには一瞬爆発を起こす以外の使い道がない爆発の理がよく似合う。応用力が非常に高い静間の「水の理」と対照的でもあったしな。
べ: で、一時期つまらん言ってた「外気流入」は?
か: うむ、暴走は基本的に面白くない。これには二つ理由があって、第一は戦う相手が見えないこと。主人公が一人で悩んで勝手に解決したように見えがちで、爽快感に欠ける。
べ: 『内なる敵』とそれへの対抗手段を漫画的にうまく表現しない限り、盛り上がらないってことだね。
か: 第二もそれと大元は同じなんだが、他のキャラクターが戦いに介入できず、地味になりがちだ。
べ: 確かに暴走は本人だけの問題っぽいから、他人に手出しはしにくいなぁ。
か: で、我聞の場合、この二つは一応クリアしている。外からの気が流入して制御不能になるのが原因だから、反仙術で制御できないぶんを打ち消してやればいい、という理論により、暴走とその対策を具体的に描写できたし、國生さんが手助けできるようになった。
べ: ああ、あの石破ラブラブ天驚拳ね。
か: 甘いな。確かに見た目は「機動武闘伝 Gガンダム」の石破ラブラブ天驚拳に似ていたが、性質から考えればもっとよく似た必殺技が存在する。「勇者王ガオガイガー」のハンマーヘルアンドヘヴンだ。
べ: えええっ!?
か: 「ガガガ」において、ハンマーヘルアンドヘヴンはもともとGツールという必殺武器だった。しかしGツールはあまりに強力すぎて、使うたびにガオガイガー自体をも傷つけてしまう、制御できない武器だったのだ。これを改良したのがゴルディオンハンマー及びゴルディーマーグであり、ゴルディーマーグの力を借りてガオガイガーがゴルディオンハンマーを振るうことにより、必殺技ハンマーヘルアンドヘヴンが完成した。どうだ?ガオガイガーを我聞、Gツールを外気、ゴルディーマーグを國生さんと置き換えればそのまま合体仙術に当てはまるだろう。
べ: 確かに…。でも國生さんとゴルディーマーグを一緒にするのは…。
か: まあ見た目としては全くの別物だからパクったとは言えないな。が、やはりここまで酷似したものがあると比べないわけにはいかない。合体仙術とハンマーコネクトの描写を比べた限りでは、どちらも勝るとも劣らない名場面と言っていい。だが我聞が暴走した瞬間は他の漫画における暴走と対して印象は変わらず、Gツール発動シーンに比べれば、さほど盛り上がらなかった。これは何と言っても外気が流れ込む描写が説得力とケレン味に欠けていたせいだな。
べ: ただ単に何かが渦を巻いてるとしか見えなかったからねぇ。何だかわからなかった。
か: それに國生さんが反仙術で止められる、という設定を出すのも遅かったな。これは打ち切りになったから結果的に遅くなったと考えるべきではない。我聞が収束爆砕を覚えた時、同時に國生さんに反仙術の可能性が知らされているんだが、ここが読者に設定を明かすベストタイミングだった。
べ: でも、國生さんの父親が出てくるまでは引っ張らないといけなかったんでしょ?
か: それが間違いだったな。真芝が反仙術兵器の開発をしている、とわかった時点で國生父が真芝にいることが判明しても全く問題はなかった、いやむしろその方が盛り上がったはずだ。
べ: うーん、つまり理論は良かったんだけど見せ方とタイミングが悪かったってことか。
か: そういうことだな。
べ: あ、力の項目が長くなったから最後にまとめて。
か: えーと、「仙術」、「爆発の理」、「外気流入」の全て、我聞というキャラクターをよく象徴していて良い設定ではあった。ただ終盤は非常に良かったんだが、序盤に見せ方と流れが悪くて地味なイメージが定着してしまったのが痛かったな。地味な話を喜ぶ向きもあるんだろうが、少年マンガとしては派手でケレン味があった方がいいし、人気も出る。
べ: 作者の芸風として地味なのが合ってるんじゃないの?
か: その話は最後にしよう。次行くぞ。

3 國生春菜とは

べ: ようやく國生さんに辿りついたね…。
か: 長かったな…。國生さんはもう、バトル漫画史上最も活躍したヒロインと呼んで差し支えないんじゃないかと思う。
べ: ここでいうヒロインは一般的なヒロインとは意味が違い、主人公が戦う理由を象徴するキャラクターという意味です。女主人公はヒーローと呼びます。詳しくは以前のヒロインとはなんぞや?を参照してください。
か: まずは「こわしや我聞」が『我聞が國生さんを嫁にする話』であり、『我聞と國生さんが夫婦になる話』ではないことに注目して頂きたい。
べ: その偏った例えはやめなさいって。要するに我聞と國生さんという二人の主人公がいたわけではなく、あくまで主人公は我聞一人だったってことね。
か: 壁流に言えば我聞がヒーローで國生さんがヒロインという図式を貫いたということだな。普通ヒロインを活躍させる場合、我聞をヒーローとして見れば國生さんがヒロインであると同時に、國生さんをヒーロー、我聞をヒロインと見ることもできる、という場合が多い。けどこの漫画の場合は当てはまらんだろ。
べ: 確かに、我聞のために戦う國生さん、っていう見方は違和感があるなぁ。
か: これはキャラクターの性質とその変化にポイントがある。我聞の例に従って分析していこう。
べ: また三種類やるわけね…。

3-1 國生春菜の強さ

か: 國生さんが従来のヒロインと最も大きく違う点は強さだ。秘書としての立場をよく理解し、自分に何ができるかも理解した上で努力し、あるいは強引にヘリに乗り込む。ヒロインとしての強さを持っていたと言える。
べ: ぶっちゃけた話、秘書というポジションでヒロイン度アップと。
か: 変態くさいぶっちゃけかたをするんじゃない。
べ: だってそういう事でしょうよ。
か: まあ、否定はできんが…。國生さんの人気の高さも恐らくここから来ているな。バトル漫画でヒロインを活躍させようと思ったら、たいていトラブルメーカーっぽい動きをすることになって嫌われやすいんだが、國生さんは身の丈に合った行動をとれる本物の強さを持っていたために、子供っぽい感じがせず、嫌われることがなかったのだ。

3-2 國生春菜の優しさ

か: うって変わって優しさという点では、当初の國生さんはガタガタだった。
べ: そうかな?割と最初の頃から工具楽屋のために頑張ってたと思うけど。
か: その考えは甘すぎるぞ。己を知らずに戦いを挑むことが本当の強さではないのと同様、相手の気持ちを知らずに自分を犠牲にすることは本当の優しさではない。我聞及び工具楽家の人々の優しさに触れることで徐々に本当の優しさを知っていくという流れになっていたわけだ。
べ: なるほど。ベタっちゃベタだけど、やっぱりいい話だよねぇ。
か: それだけに我聞の國生さん家族宣言は早すぎたな。ラブコメ展開を色々やって、二人がちょっと意識し始めたくらいのタイミングであのエピソードがあったら、歴史に残る名場面になっていたかもしれん。
べ: まあその場合GHKがあそこまで活躍することはなかっただろうから、どっちもどっちだけどね。

3-3 國生春菜の力

か: 前に言ったとおり、國生さんの力はゴルディーマーグ。以上。
べ: だからその二人をイコールでつなぐのはまずいって。それに他にも色々あるでしょ。バインダーとか。
か: じゃあツッコミ、バインダーを使ったツッコミ、ハンマーコネクト。以上。
べ: …間違っていると言い切れないところがたちが悪い…。
か: 言うことがあるとすれば、我聞をサポートするための力しか持っていないってことだな。中之井さんのドラテク&スナイピング、優さんのひみつ道具&ハッキングと比較しても、いかにヒロイン度が高いかがわかるだろう。
べ: 確かにこれだけの力であれだけ活躍したってのは結構すごいかも。

後編に続く
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by kabehouse | 2005-12-28 15:13 | 本棚
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