世界樹の迷宮(5)またしても蝶

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「世界樹の迷宮」プレイヤーの方なら『ついにあそこまで来たか』と思われるでしょうか。このリプレイは未プレイの方に向けて書いており、やたら細かく書いてあって進み方が尋常じゃなく遅いので、ひょっとするとこの辺の話はもう記憶の彼方かも知れません。そういった方にはこのリプレイで序盤の苦労を思い出して頂ければと思います。

ところで、前の土日に書きためていたものが今日で尽きてしまいました。メモは第9話のぶんまでとってあるんですが、リプレイに起こすのは今週末になりそうです。今日はサンデーの発売日ですし。
(注:この文章は壁が考えた非公式の設定にもとづいて書かれています。皆さんのイメージと合わない場合は登場人物の思いこみということにしてください。)




装備を調え、レベルも上がった俺たちは、順調に地下一階のマップを埋めていた。
ウスター「しかし、深い森だなぁ。マップがないと絶対迷うぜ」
スジョーユ「ああ、だいぶ奥まで来たな。どうやら完成も見えてきたみたいだ」
タルタル「おーい、スジョーユー!こっちに広場があるぞー!」
先を行く三人が、開けた場所を見つけたようだ。そこらじゅうに生えていた天に届くような木々が、その一角だけ生えていない。かわりに色とりどりの花で埋め尽くされている。
コチュジャン「わー、いい匂いですねー」
ウスター「本当だ。なあスジョーユ、ちょっとここで休憩していかないかい?」
スジョーユ「そうだな、結構戦闘もしたし…お?」
俺は花畑にちらほらと、見覚えのある山菜を見つけて腰を下ろす。
シオ「何、それ?」
スジョーユ「苦ヨモギだよ。いい匂いがするだろ?」
シオ「あら、ホント」
スジョーユ「その匂いには集中力を高める効果があって、薬の材料になったりするんだ」
俺がその場にしゃがみ込んだまま、しばらくヨモギ採りに夢中になっていると、すぐ横からコチュジャンが俺を呼ぶ声がした。
コチュジャン「すすすスジョーユさん」
スジョーユ「んー、どしたー?」
コチュジャン「あ、あっち見てくださいあっち!蝶です蝶!」
スジョーユ「ん、蝶?シンリンチョウかー?」
見ると確かに蝶の群れが飛んでいる。しかしそれはシンリンチョウではなく、俺の見たことのない種類の蝶だった。
コチュジャン「あああアレは毒吹きアゲハです。おおお恐ろしい毒を持っていて、何人もの冒険者がアレにやられているという恐ろしい蝶なんです!」
スジョーユ「おい、それは本当か?」
コチュジャン「ままま間違いありません。ぼぼ僕が昔見た標本にそっくりです」
この話が本当なら確かにやっかいだ。俺たちは毒消しの薬を持ってないし、状態異常を回復するスキルも俺はまだ習得してない。
コチュジャン「にに逃げましょうスジョーユさん。やや奴らが気づかないうちに!」
コチュジャンは顔を真っ青にしてがたがた震えている。
スジョーユ「よし、気づかれないよう静かに他のメンバーを集めるんだ」
タルタル「おーいスジョーユー!蝶だ!蝶がやたら一杯いるぞー!」
シオ「モンスターね!この私がまとめて切り捨ててやるわ!」
バカがいたー!
スジョーユ「や、やめろオイ、そいつらは危険だ!逃げるんだよ!」
シオ「ふん、蝶なんかにビビってたらいつまでたっても先へは進めないわよ!」
タルタル「ようやくレイジングエッジの出番だな!」
スジョーユ「やめろー!やめてくれー!」
俺とコチュジャンは半泣きになって止めようとするが、二人は既に完全に戦闘態勢になっている。
ウスター「もう今から逃げても間に合いそうにないぜ。諦めようや。」
こうして俺たち五人と毒噴きアゲハ三匹の死闘が幕を開けた。

1ターン目。
シオ「くらいなさい!フロントガード!」
相変わらずシオは『くらえ』の使い方を間違えているが、そのフロントガードをあざ笑うかのように、アゲハたちの毒の鱗粉が降り注ぎ、あえなく俺とシオは毒に冒された。
スジョーユ「まずい…。さっさと戦闘を終わらせないとダメージがたまって面倒なことになるぞ」
コチュジャン「♪この満開の花の中、我は永き眠りに就く。まだ見ぬ父母よ、我が短き生涯を彩る様々な出会いよ…」
スジョーユ「コチュジャン、辞世の歌はまだ早いぞ。その前に韋駄天の…いや待て、アレだ、あの何とかいう戦いの歌!」
コチュジャン「猛き戦いの舞曲です…」
ここで速度アップではなく攻撃力アップの歌を選んだ理由は二つ。一つは相手の速度が思ったより高かった場合、こちらの速度を上げても意味がないこと。もう一つは、こちらがかなり深刻なのだが、ウスターのTPが魔法一発分しか残っていないことだ。次のターンからは魔法に頼れないから、攻撃力を上げておいた方がいい。
ウスター「これで沈め!雷の術式!」
とどろく雷鳴とともに一匹の蝶が黒こげになって落ちる。うん、やっぱり魔法は頼りになる。この一発で終了だけど。
タルタル「レェイジングエェッジ!!」
新しく習得したスキルを使えて、楽しくて仕方がないようだが、そのレイジングエッジでさえ蝶のHPを半分削るに終わった。俺の治療でタルタルのHPは全快したけど、毒の効果を考えると安心するわけにはいかない。とにかく1ターンでも早く終わらせないと…。

2ターン目。
突然目の前が真っ暗になり、俺はその場に倒れた。呼吸がしにくい。
ウスター「お、おいスジョーユ!大丈夫か?シオ!?」
シオも同様にぶっ倒れているらしい。まさか、毒でここまでダメージをくらうとは…。戦いが長引いたらやばいとか、そんな悠長なもんじゃない。俺は次のターンの始めに、確実に死ぬだろう。
シオ「こっ、こんな、ものぉ…。フ、ロ、ン、ト、ガードげふぅ!」
最後の気力を振り絞って立ち上がったシオを蝶の一撃があっさり天国へ送った。もうダメだ。俺は死を覚悟して、記憶が薄れていく中最後のキュアをコチュジャンに送った。
スジョーユ「耐え、ろ、みんな…」

目覚めた時、俺は清潔なベッドの上にいた。この天井は見覚えがある。ケフト施薬院だ。
ケフト「お、目が覚めたかね。自分のことがわかるかい?」
スジョーユ「俺は…毒吹きアゲハの麻痺毒にやられて…」
ケフト「そう。お仲間がここまで運んできてくれたんだよ」
スジョーユ「そうか…みんなは助かったのか…」
その時横のドアが開いて、他のメンバーが入ってきた。
コチュジャン「スジョーユさぁぁん!」
タルタル「おお!スジョーユだ!」
ウスター「ようやく目を覚ましたか。寝過ぎだぞ、お前は」
シオ「全く、心配をかけさせるわね」
スジョーユ「…ちょっと待て。お前は俺より一瞬早く死んだはずだぞ」
シオ「日頃から鍛練を重ねていれば復活も早いのよ」
絶対嘘だ。っていうか復活が早くなってもあんまり意味がない。
コチュジャン「スジョーユさぁぁん!僕は、僕はあなたを誤解していましたあぁぁ!」
スジョーユ「で、こいつはどうしたんだ?」
ウスター「ああ、お前の最期のキュアと傷薬二つだ。アレがなかったらコチュジャンも死んでた」
コチュジャン「最期の時まで仲間のために力を振るう、その姿に僕は…」
スジョーユ「おいウスター、ということはお前たちアレを二つとも使ったのか?」
ウスター「いや、そりゃ使うだろ普通」
スジョーユ「マジかよ!傷薬は一個20enするんだぞ!二つで40en!一人生き返らせるのに30enだろ!もっと効率を考えろよ!」
コチュジャン「………」
ウスター「コイツ…鬼だな…」
シオ「鬼ね…」
タルタル「鬼だぜ。昔から」
コチュジャン「この人に助けられたと思った僕がバカでした…」
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by kabehouse | 2007-01-24 11:09 | 世界樹の迷宮
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